こんにちは。こんばんは。シンママナースのたまごです。
みなさんは、親が少しずつできないことが増えてきたと感じたことはありますか?
親はいつまでも親でいてほしい。
そんな気持ちがあるからこそ、現実を受け入れることが難しい場面があります。
今日は、訪問看護を通して感じた「親子関係の再構築」についてお話ししたいと思います。
母親を信じ続けていた息子さん
独身の息子さんと認知症のあるお母さん、二人暮らしのご家庭でした。
私たちは、認知症があり薬の管理ができなくなってきた患者さんのために訪問看護へ介入しました。
買い物には行けます。
しかし、食べ物を大量に購入して一日で食べてしまうこともありました。
初めてお会いした時、お母さんからは強い尿臭があり、お風呂にも入れていないことが想像できる状態でした。
部屋の中にはゴミが散乱していました。
それでも話し方はとても上品で、部屋には高価な家具や調度品が並んでいました。
きっと長年、しっかりと生活されてきた方なのだろうと感じました。
一方、息子さんは車の整備工場で働く会社員でした。
困っていることを尋ねると、
「母はある程度一人でできています。」
「今回、なぜ看護師さんが来ることになったのか分からないです。」
と言われました。
薬は大量に残り、尿臭もあり、お風呂にも入れていないような状態でした。
それでも息子さんは、
「買い物も行っています。」
「食事もできています。」
と話されるのです。
少しずつ現実を一緒に確認していく
私は一つずつ確認していきました。
「お風呂は入れていますか?」
「薬は飲めていますか?」
「食事はどんなものを食べていますか?」
「お金の管理はできていますか?」
まずはお母さん本人に尋ねます。
すると、
「お風呂にも入れています。」
「薬も飲んでいます。」
と答えられました。
それを聞いた息子さんも、
「母がそう言っているので大丈夫です。」
「母は昔から何でも自分でできる人でしたから。」
と話されました。
そこで私は、現状を一つずつ説明しました。
「髪がかなり乱れているので、お風呂には入れていないと思います。」
「尿臭があるので、失禁している可能性があります。」
「血液検査では血糖値も高く、食事や薬の管理が十分にできていない可能性があります。」
認知症のあるご本人を前に、現実を伝えることはとてもつらいことです。
それでも、息子さんが現状を理解しなければ、お二人を支える方法を考えることができませんでした。
親子の役割が変わる時
これまでは、お母さんが息子さんを支えてきました。
でも年齢を重ね、今度は息子さんがお母さんを支える時期がやってきたのです。
一方で、お母さんも息子さんに迷惑を掛けたくないという思いがありました。
そして息子さんも、「しっかり者の母」という長年のイメージが強く、お母さんの変化を受け入れる準備がまだできていなかったのかもしれません。
お二人とも、「親子の役割が少しずつ変わっている」という現実を受け入れる準備が、まだできていなかったのです。
だからこそ、訪問看護をはじめとした介護サービス全体で現状を確認し、お二人に理解していただくところから始めました。
今の生活に何が足りないのか。
何を補えば安心して生活できるのか。
それを一緒に整理していきました。
関係性を再構築するという支援
長年一緒に暮らしてきた親子だからこそ、とてもつらい時間だったと思います。
息子さんはうつむき、お母さんも静かに話を聞いておられました。
しかし、不足している部分を一つずつ補っていくことで、新しい親子関係が生まれました。
息子さんができることは息子さんが担当する。
難しい部分は、訪問看護や介護サービスが支える。
そうやって役割を整理したことで、お母さんは定期的に入浴できるようになり、部屋の中もきれいになりました。
薬の管理も安定し、病状も落ち着いてきました。
そして何より、息子さんがお母さんを気に掛ける時間が増えていきました。
私は、この経験を通して改めて思いました。
訪問看護は病気だけを支える仕事ではありません。
家族の関係性を再構築し、無理なく生活を続けられるよう支えることも、私たちの大切な役割なのだと思います。
家族だからこそ難しいことがある
家族だからこそ受け入れられない病気があります。
家族だからこそ言えないことがあります。
そんな時、第三者である私たちが間に入ることで、問題点が整理され、家族がお互いを支えやすくなることがあります。
私はこれからも、病気だけではなく、そのご家族との関係まで見つめられる訪問看護師でありたいと思っています。
※この記事は実際の訪問看護での経験をもとにしていますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないよう年齢や状況などを一部変更し、必要に応じて複数の事例をもとに再構成して掲載しています。
家族との関わりについては、こちらの記事でも紹介しています。
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