こんにちは。こんばんは。シンママナースのたまごです。
先日、他のステーションで働いている友人から、新人さんへの指導について相談を受けました。
「うちの新人さんなんですが、どうしても教科書通りにしてしまう感じがあって……」
詳しく話を聞いているうちに、昔、私自身が経験したある出来事を思い出しました。
「あんな状態の患者さんを置いて東京に帰るんですか!!」
当時、100歳を超えた患者さんがいました。
娘さんは70歳を優に超え、東京で暮らしていました。
「母の最期の時間を一緒に過ごしたい」
そう思い、実家へ戻ってこられていたのです。
しかし、思っていたよりも患者さんは元気でした。
1か月、2か月と過ぎる中で、東京にいるお孫さんから「一度帰ってきてほしい」と連絡がありました。
娘さんは悩んだ末に、2週間だけ東京へ戻ることを決められました。
その話を聞いた新人スタッフが、泣きながら私に電話をしてきたのです。
「娘さん、なんであんな状態の患者さんを置いて東京に帰るんですか!!」
患者さんの状態は、確かに一人では生活できない状態でした。
しかし、2週間以内に亡くなるような状態ではありませんでした。
だから私は、娘さんに
「今なら東京へ帰ることができますよ」
とお伝えしました。
ただ、その背景を新人スタッフには十分に伝えていなかったのです。
事情を説明すると、新人スタッフは「そうなんですね」と受け入れてくれました。
そして、
「2週間後に娘さんが帰ってきたとき、元気で迎えられるように頑張ろう」
と、一生懸命ケアをしてくれました。
「まだ生きてたー!!」
2週間後。
帰省された娘さんの第一声は、
「まだ生きてたー!!」
でした。
その笑顔が、今でも忘れられません。
お母さんと過ごす時間も大切。
でも、お孫さんと向き合う時間も大切。
娘さんにも人生があり、家族がある。
そのことを改めて感じた出来事でした。
飲み会で聞いた新人さんの言葉
数年後。
その新人スタッフは、今も私たちのステーションで活躍してくれています。
飲み会の席で、こんな話をしてくれました。
「大泣きしながら電話したの、覚えていますか?」
そして、
「『訪問看護は患者さんだけを見ていたらいいわけではないんだよ』と言われたことが、すごく印象に残っているんです。
だから今も訪問看護を続けているんだと思います」
と話してくれました。
当時の私は、少し偉そうに説教していたのかもしれません。
でも、その言葉を新人さんが大切に受け取ってくれていたことが嬉しかったです。
私たちが関わる時間は、人生のほんの一部
訪問看護師である私たちが関わらせていただく時間は、患者さんが生きてきた長い人生の中のほんの一部です。
何十年も一緒に過ごしてきた夫婦。
親子として積み重ねてきた時間。
愛情もあれば、複雑な思いを抱えている家族もあります。
その背景は、当事者でなければわかりません。
だからこそ、教科書通りの正しさだけでは見えないものがあります。
私たちができることは、患者さんだけを見ることではありません。
患者さんを取り巻く家族の人生にも目を向けること。
その人たちがどのような時間を過ごし、どのような思いを抱いているのかを想像すること。
それが訪問看護なのではないかと思います。
これからも、型にはまった考え方だけではなく、その人たちの人生にも寄り添える看護師でありたいと思います。
※この記事は実際の経験をもとにしていますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないよう年齢や状況などを一部変更し、必要に応じて複数の事例をもとに再構成して掲載しています。


