「看護するつもりが、支えられていた」|訪問看護師になって気づいたこと

訪問看護

こんにちは。こんばんは。シンママナースのたまごです。

わたしたち訪問看護師の仕事は、患者さんが少しでも安心して自宅で生活を続けられるように、ケアや医療処置を行うことです。

患者さんを支え、少しでも力になれるように訪問しています。

でも、情けないことに、わたしが患者さんから心配されることがあります。

寝不足だったり、仕事で悩みがあったりして元気がない日は、不思議なくらい患者さんに見抜かれてしまうのです。

「疲れてるんじゃない?」

そんな一言をかけてもらうたびに、プロとしては反省しなければいけないと思います。

それでも同時に、

「さすが人生の先輩だな。」

そんな尊敬と感謝の気持ちが込み上げてきます。


「学校へ行った?」

ある認知症の患者さんがいらっしゃいました。

訪問すると、

「疲れてるんじゃない?」

「何かあったの?」

と、いつも優しく声をかけてくださいます。

そんな時、わたしもつい、

「実はね……」

と、不登校の息子の話をしてしまうことがあります。

すると患者さんは、

「今だけよ。お母さんが頑張っていることは、子どもは絶対にわかってるからね。」

そう言って励ましてくださるのです。

そして、一週間後に訪問すると、

「息子さんは学校へ行った?」

と聞いてくださることがあります。

数分前の出来事は忘れてしまうことがあるのに、息子のことだけは覚えていてくださる。

その一言に、わたしは何度も救われてきました。

認知症になると、記憶が少しずつ薄れていくことがあります。

それでも、人を思う気持ちは残っている。

そんなことを教えていただいた出来事でした。


患者さんは、いつも私たちを見てくれている

認知症の患者さんだけではありません。

多くの患者さんが、わたしたち看護師のことを気にかけてくださいます。

「離婚したら大変でしょ。」

そんなふうに声をかけてくださる患者さんもいます。

「それがねぇ……」

と離婚して良かったことを話すと、みんなで大笑いになります。

子どもたちは元気にしているのか。

勉強は頑張っているのか。

一人で育てるのは大変じゃないか。

家族のように心配してくださる方が、本当にたくさんいます。

患者さんのもとへ看護を届けに行っているはずなのに、気づけばわたしの方が励まされ、元気をもらって帰る日も少なくありません。


訪問看護だからこその関係

病院で働いていた頃は、「看護師」と「患者さん」という立場を強く意識していました。

でも訪問看護になってからは、その関係が少し違うことに気づきました。

患者さんは、わたしよりも年上で、さまざまな人生を歩んできた大先輩です。

戦争を経験された方。

子育てを終えた方。

長年仕事を続けてこられた方。

人生経験の豊富な患者さんだからこそ、その言葉はまっすぐ心に届きます。

訪問看護は、ご自宅という生活の場で関わらせていただく仕事です。

患者さんと一緒にテレビを見て笑ったり、お子さんやお孫さんの写真を見ながら思い出話を聞いたりすることもあります。

そんな何気ない時間を積み重ねるうちに、「看護師と患者」という関係を超えて、一人の人として向き合える関係が育っていくのだと思います。


看護するつもりが、支えられていた

訪問看護師として患者さんを支えに行っているつもりでも、実際にはわたしの方が支えられている日がたくさんあります。

患者さんの何気ない一言。

優しい笑顔。

人生の先輩だからこそ伝えられる言葉。

その一つひとつが、わたしの背中を押してくれます。

だからこそ、患者さんからいただいた優しさや思いやりを忘れず、今度は看護を通して少しでもお返ししていきたい。

「今日も元気をもらったな。」

そんな感謝の気持ちを胸に、これからも一人ひとりと向き合っていきたいと思います。

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