こんにちは。こんばんは。シンママナースのたまごです。
わたしたちのステーションを利用してくださっている患者さんには、おひとり暮らしの方も多くいらっしゃいます。ご家族が遠方にいらっしゃる方、そもそも身寄りがない方など、それぞれです。
一人暮らしの方でも「住み慣れた自宅で死にたい」と思うことは、決して間違ってはいません。一人暮らしに慣れているからこそ、最期の時間も自宅で過ごしたいと思われるのだと思います。
今回は、ひとり暮らしの患者さんの在宅看取りを通して、わたしたちがどのように支えているのかをお伝えしたいと思います。
在宅生活を支えるたくさんのサービス
在宅生活を支えるサービスにはたくさんのものがあります。
訪問看護や定期巡回サービス、訪問診療などがその一例です。
また、ICTの発達によって、多職種同士で情報を共有することも、わたしが訪問看護を始めた10年前に比べると、とても簡単になりました。
そのため、一人暮らしであっても多くの人が連携しながら生活を支えることができるようになっています。
「家で死ぬ」と決めていた患者さん
わたしたちが関わらせていただいた患者さんのお話です。
70代の男性で、肝臓がん末期の方でした。
「入院はしたくない」と言われており、抗がん剤治療も中断されていました。
理由を尋ねると、
「家にいるほうがいい」
と話されていました。
介入当初は、一人で買い物やコインランドリーへ行くことができ、シャワーも自分で浴びることができていました。
しかし病気は徐々に進行し、ベッドから起き上がることも難しくなっていきました。
何度か
「入院しなくてもいいんですか?」
と尋ねましたが、患者さんの答えはいつも同じでした。
「家で死ぬ」
その気持ちは最後まで変わりませんでした。
訪問看護師とヘルパーさんの連携
朝はわたしたち訪問看護師が訪問し、オムツ交換や陰部洗浄、身体拭きを行います。
その時に、
「何か食べたいものはありませんか?」
と聞いてみます。
すると、
「ポカリ」
「アイス」
「牛乳」
と、一言だけの返事が返ってきます。
わたしたちはその希望を、そのまま定期巡回のヘルパーさんへ共有していました。
昼にはヘルパーさんが訪問し、必要に応じてオムツ交換を行いながら、患者さんが希望したポカリやアイス、牛乳を買ってきてくれます。
そして飲みやすいように準備したり、食べやすいように介助したりしてくれていました。
夕方は再びわたしたち訪問看護師が訪問し、体調確認やオムツ交換、水分補給などを行います。
洗濯物が溜まった時には、朝の訪問後にわたしたちがコインランドリーへ持って行くこともありました。
その情報をICTで共有すると、時間を合わせてヘルパーさんが取りに行ってくださいます。
病気の進行に伴い、買い物も洗濯も、一人では難しくなっていました。
それでも、多職種が連携することで生活は滞ることなく続いていました。
最後まで自宅で過ごせた理由
ある朝、訪問した時点で血圧の測定も難しく、呼びかけへの反応も薄くなっていました。
わたしたちはすぐに訪問診療の先生やヘルパーさんへ状況を共有しました。
その日の昼、ヘルパーさんが訪問した時には呼吸が止まっていました。
すぐにわたしたちへ連絡が入り、ヘルパーさんも一緒にエンゼルケアを行うことができました。
患者さんは苦しまれた様子もなく、オムツや身体が汚れた状態でもありませんでした。
まだ身体には温もりが残っていました。
息を引き取る瞬間には立ち会えませんでした。
それでも、温かい身体に触れた時、
「一晩、一人きりで過ごさせなくてよかった」
と心から思いました。
そして患者さんに関わらせていただいたわたしたち全員が、
「この方らしい最期を支えることができた」
と感じた瞬間でした。
ひとり暮らしだからといって、ひとりではない
一人暮らしだと、自宅で最期を迎えることは難しいと思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし今は違います。
訪問看護や定期巡回サービス、訪問診療など、たくさんの制度があります。
さらにICTの発達によって、多職種がリアルタイムで情報共有できるようになりました。
朝に患者さんが希望したものが昼には届く。
動けなくなっても、自分の好きなものに囲まれて過ごすことができる。
それは、多くの人が支えているからこそ実現できることです。
わたしたちにできることは、息を引き取る瞬間を見届けることではありません。
患者さんが患者さんらしく、自分が望む場所で最期まで過ごせるよう支えることです。
ひとり暮らしだからといって、ひとりで最期を迎えるわけではありません。
訪問看護師やヘルパーさん、訪問診療の先生など、多くの人がチームとなって支えることができます。
それが在宅看取りの大きな力であり、わたしが感じる在宅介護の醍醐味だと思っています。

