こんにちは。こんばんは。40代シンママナースのたまごです。
みなさんは、親に対して「生きていてくれるだけでいい」と思ったことはありますか?
我が子に対してそう思ったことはあります。
ただ、今の年齢になると、親に対してそう思っていないというのが正直な思いです。
冷たい人間だと思われるかもしれません。
けれど、介護の大変さを知っているわたしにとって、「生きていてくれるだけでいい」という言葉は、簡単には口にできない言葉でもあります。
今日は、訪問看護の現場で感じてきた、家族の思いと在宅生活を支えることについてお話ししたいと思います。
「生きていてほしい」という家族の願い
訪問看護の仕事をしていると、ご本人だけでなく、ご家族のさまざまな思いに触れる機会があります。
「できるだけ長く元気でいてほしい」
「住み慣れた家で暮らしてほしい」
「もう無理をしないでほしい」
そんな言葉の奥には、それぞれの家族の歴史や、大切な人への思いがあるのだと感じます。
わたし自身、これまでの訪問看護の経験の中で、家族が大切な人のこれからを思う姿に、何度も心を動かされてきました。
そして、そうした思いに触れるたびに、看護師として考えることがあります。
「その願いを支えるために、わたしたちには何ができるだろう」
家族の思いを聞いて、素敵だなぁと感じるだけでは終わらない。
どうすれば、その人らしい暮らしを続けられるのか。
どうすれば、ご家族も無理をしすぎずに支えられるのか。
つい、そんなことを考えてしまうんです。
「生きていてくれるだけでいい」を守るために
「生きていてくれるだけでいい」
とても温かい言葉だと思います。
でも、在宅介護の現場を知っているからこそ、わたしはその言葉の重みも感じています。
生きていくということは、毎日の暮らしを続けていくということでもあります。
食事をすること。
身体を清潔に保つこと。
薬を飲むこと。
転倒や体調の変化に気をつけること。
そして、安心して眠り、また次の日を迎えること。
当たり前に思える日常も、年齢や病気によって、一人では難しくなることがあります。
だからこそ、訪問看護では病気や身体の状態だけでなく、暮らし全体を見ることを大切にしています。
食事は摂れているだろうか。
いつもと様子が違うところはないだろうか。
今の生活に無理はないだろうか。
そして、ご家族に過剰な負担がかかっていないだろうか。
ご家族が願う「生きていてくれること」を、わたしたちも一緒に支えていきたい。
わたしは、そんな思いで訪問看護に関わっています。
家族の願いと本人の希望は、同じとは限らない
在宅介護では、ご本人とご家族の希望が必ずしも一致するとは限りません。
例えば、ご家族は心配だから、もっとサービスを利用してほしいと思っている。
でも、ご本人は今までどおり、自分のペースで暮らしたいと思っている。
そんなこともあります。
どちらの思いも大切です。
ただ、ご家族が安心するためにサービスを増やしすぎると、ご本人が疲れてしまうこともあります。
反対に、ご本人の「自分でできる」という言葉だけを大切にしすぎると、生活の中に危険が残ってしまうこともあります。
だからこそ、わたしが大切にしているのは、「ほどほど」の支援です。
必要なところには手を差し伸べる。
でも、ご本人ができることや、今までの生活のペースまで奪わない。
ご本人とご家族、それぞれの思いを聞きながら、無理のないところを探していく。
ケアマネジャーさんやヘルパーさんなど、ほかの専門職とも相談しながら、支援の方法を考えていきます。
在宅介護は、家族だけで頑張るものではない
「できるだけ長く生きていてほしい」
「住み慣れた家で暮らしてほしい」
そう願っていても、ご家族にはそれぞれの生活があります。
仕事があったり、子育てがあったり、自分自身の体調に不安があったり。
遠くに住んでいて、なかなか会いに行けないこともあるでしょう。
大切に思っているからといって、何でもできるわけではありません。
そして、できないことがあるからといって、家族への思いが足りないわけでもないと思うんです。
在宅生活には、医療や介護のケア以外にも、さまざまな支えが必要になります。
買い物や食事の準備。
日々の安否確認。
介護サービスの調整。
体調が変化したときの相談。
そうした一つひとつを、ご家族だけで抱え込む必要はありません。
訪問看護師やヘルパー、ケアマネジャーなど、さまざまな専門職が関わることで、負担を分け合える場合があります。
もちろん、すべてを専門職に任せられるわけではありません。
でも、家族が全部を頑張らなくてもいい方法を、一緒に考えることはできます。
わたしは、それが在宅介護を続けていくうえで、とても大切なことだと思っています。
訪問看護師として、家族の思いをつないでいきたい
訪問看護の仕事は、医療的なケアをすることだけではありません。
ご本人がどんな暮らしを望んでいるのか。
ご家族は何を心配しているのか。
それぞれの思いを聞きながら、安心して生活できる方法を考えていくことも、大切な仕事の一つです。
ときには、ご本人とご家族の間で思いがすれ違うこともあります。
そんなとき、どちらか一方の希望を優先するのではなく、両方の思いを大切にしたいと思っています。
家族の輪の中に少しだけ入らせてもらい、ご本人とご家族の思いをつないでいく。
わたしは、そこに訪問看護の大きなやりがいを感じています。
最後に
「生きていてくれるだけでいい」
わたしにとって、今でも簡単には口にできない言葉です。
でも、その言葉の裏にある願いを、訪問看護師として支えていきたいと思っています。
大切な人に元気でいてほしい。
できるだけ長く、一緒に過ごしたい。
その気持ちを大切にしながら、ご本人にも、ご家族にも、無理のない暮らしを考えていく。
それが、わたしの思う訪問看護の役割です。
そして、今まさに介護をしている方に伝えたいことがあります。
大切な人を思うことと、介護を一人で頑張ることは、同じではありません。
困ったときは、周りの人や専門職を頼ってください。
介護も、ひとりじゃないんです。

