こんにちは。こんばんは。
シンママナースのたまごです。
突然、がん末期の患者さんの依頼が訪問診療医から届きました。
日曜日に連絡がきて、
「明日からいける?」
と。
伝えられたのは、
- 入院はせず、自宅でずっと過ごされていること
- 別の訪問看護ステーションが介入していたこと
- 余命は1か月もないだろうということ
- ご主人が一人で介護をしていること
- すい臓がんの末期状態であること
- 点滴をしてほしいということ
それだけでした。
何もわからないまま、月曜日に初めて訪問させていただきました。
「点滴だけしてほしい」わけではありませんでした
ご主人は、疲れ切った様子で迎え入れてくださいました。
「先週からずっと下痢が続いていて、お尻がかぶれています。痛がって、どうしてあげていいかわかりません」
「夜もなかなか眠れなくて。でも、もう時間はないと思うんです」
涙ながらに訴えられました。
初回の訪問は、患者さんやご家族のお話を聞いたり、これまでの経過や生活の様子を確認したりするため、時間をかけて対応させていただくことが多いです。
でも、この日はいつも以上に長い時間をかけさせてもらいました。
話を聞いていくと、最初に聞いていたこと以外にも、たくさんの困りごとがありました。
「点滴だけしてほしい」わけではなかったんです。
オムツ交換や身体拭き、痛みへの対応。
そして、
「どうしてあげたらいいのかわからない」
というご主人自身の不安もありました。
そこで、以前介入していた訪問看護ステーションについて聞いてみました。
「前の看護師さんにはお願いしなかったんですか?」
すると、ご主人は、
「相性が悪かったんですね」
と話されました。
お風呂に入ることが難しい時でも、身体を拭くことで清潔を保つことができます。自宅でもできる身体拭き(清拭)の方法についてはこちらでお話しています。
案内▶「今日は足だけでも大丈夫|在宅介護での清潔ケアのお話」
訪問看護にも「相性」があります
そうなんです。
私たちは、人と人との関わりで成り立つ仕事をさせていただいています。
どれだけ医療的に正しいケアをしていても、患者さんやご家族が、
「この人には相談しにくいな」
「なんとなく話しづらいな」
と感じてしまえば、本当に困っていることを話せなくなってしまうことがあります。
反対に、
「この人なら話せる」
と思える相手だからこそ、
「昨日、眠れなかったんです」
「お尻が痛そうなんです」
「私も、もうしんどいんです」
そんな言葉が出てくることもあります。
人と人との付き合いだからこそ、やっぱり「相性」は大切なんだと思います。
小さな「なんかイヤ」も大切にしてほしい
相性が悪いというのは、大きなトラブルがあった場合だけではありません。
話し方がなんとなく苦手。
距離感が合わない。
忙しそうで相談しづらい。
ちょっとした仕草が気になる。
においが苦手。
例えば、タバコを吸わないご家庭に、かすかにタバコのにおいがする看護師が訪問したら、それを不快に感じる方もいると思います。
「そんな小さなことで……」
と思われるかもしれません。
でも、自宅は患者さんやご家族にとって、とてもプライベートな場所です。
そこへ定期的に入ってくる人だからこそ、小さな違和感も積み重なると負担になります。
ましてや、介護で心も身体も疲れているときならなおさらです。
「なんかイヤだな」
「なんとなく違うな」
その感覚も、大切にしていいと思います。
一つ目が合わなくても、訪問看護を諦めないでほしい
今回のご主人も、「なんとなく違う」と感じながら、一人で奥様の介護に向き合ってこられました。
「どうしてあげていいかわからない」
そんなご主人に対して、看護師として何ができるのか。
処置をするだけではなく、介護を頑張っているご家族の表情や言葉を確認しながら支えていくことも、訪問看護の大切な仕事だと思っています。
私は訪問看護師なので、
「訪問看護っていいですよ」
「医療的なケアがたくさん必要になる前から利用してみてください」
と、このブログでも何度もお伝えしています。
訪問看護は、病気が重くなってからだけ利用するものではありません。「こんなことでも頼んでいいの?」と思うようなことも、まずは相談してみてください。訪問看護でできることについてはこちらでもお話しています。
案内▶「訪問看護って何をしてくれるの?」|実際の仕事内容を訪問看護師が解説します
でも、一つ目に選んだ訪問看護ステーションが、すべての方に合うとは思っていません。
人と人なので、どうしても相性があります。
一つ目で、
「お!!♡」
と思えるステーションに出会えたら、それはとても幸せなことです。
でも、
「なんかちょっと違うな……」
と感じることだってあります。
だからといって、
「訪問看護ってこんなものなんだ」
と、訪問看護そのものを諦めないでほしいんです。
二つ目に挑戦してもいいんです。
一緒に戦う仲間だから、チェンジしてもいい
訪問看護師は、在宅介護を一緒に支えてくれる仲間です。
だから、
「この人とは一緒に戦えないな」
と思ったら、チェンジしてもいいんです。
「今までお世話になっているから」
「頑張ってもらっているから」
「変えてほしいなんて言ったら悪いから」
そんなふうに我慢しなくてもいいと思います。
つらい介護を一緒に乗り越えていく相手だからこそ、なんでも話せることはとても大切です。
「この人なら相談できる」
「困ったときに頼れる」
そう思える人を探していいんです。
同じステーションの中で担当者を相談することもできます
ちなみに、同じ訪問看護ステーションの中でも、
「○○さんとは少し合わないけれど、△△さんには来てほしい」
と言われることがあります。
それも、正直に話してもらっていいと思います。
緊急時など難しい場合もありますし、ステーションの人員体制によって必ず希望どおりになるとは限りません。
それでも、可能な範囲で担当者を調整できることもあります。
まずは、
「実は……」
と相談してみてください。
訪問看護だけではありません
これは、訪問看護だけの話ではないと思っています。
在宅介護では、
- 訪問診療医
- 訪問看護師
- 訪問介護士(ホームヘルパー)
- 訪問入浴
- デイサービス
- ケアマネジャー
など、たくさんの人と出会います。
その中に「おや?」と感じる人がいると、それだけで相談しづらくなったり、ご家族が無理をしてしまったりすることがあります。
そんなときは、話しやすい人に相談してみてください。
担当者を変える。
事業所について相談する。
別のサービスを検討する。
いろいろな方法があります。
もちろん、地域やサービスの種類、人員体制などによって、必ず希望どおり変更できるとは限りません。
それでも、
「変えたいと思ってはいけない」わけではありません。
信頼できる仲間と在宅介護をしてほしい
在宅介護は、一人でするものではありません。
たくさんの人がチームになって、患者さんとご家族の生活を支えています。
そして、その中心にいるのは医師でも看護師でもありません。
患者さんと、そのご家族です。
「今までお世話になったから」
という理由だけで、無理をして付き合い続けなくてもいいと思います。
一緒に戦ってくれる仲間だからこそ、信頼できる人を選んでいい。
一つ目で出会えなければ、二つ目に挑戦してもいい。
担当者だけチェンジしたっていい。
そうやって、
「この人たちとなら一緒にやっていけそう」
と思える仲間に出会ってほしいと思っています。
介護は、決して楽なものではありません。
だからこそ、少しでも安心して頼れる人たちと一緒に。
患者さんとご家族が、その人たちらしい時間を過ごせるようなチームを作ってもらえたらいいなぁと思います。
訪問看護では、患者さんだけではなく、その方を支えているご家族も一緒に支えていくことが大切だと思っています。訪問看護師として「家族を見ること」について感じていることはこちらにも書いています。
案内▶「訪問看護は患者さんだけを見ていたらいいわけではない」
※この記事で紹介している事例は、個人が特定されないよう、一部内容や状況を変更しています。

