こんにちは。シンママナースのたまごです。
前回は、
「介護保険で利用できる在宅サービス」
についてお話しました。
今回は、
「実際にどんなふうにサービスを組み合わせていくの?」
について、具体例を使いながらお話したいと思います。
介護保険では、
介護度によって利用できるサービス量が変わります。
そして、
「家族がどれくらい介護できるか」
によっても、必要なサービスは大きく変わってきます。
今回は、
- 要介護1
- 要介護5
の2つの例を見ながら、
在宅介護について考えてみたいと思います。
要介護1|まだ自分でできることが多い状態
要介護1は、日常生活の中で一部に介助が必要な状態です。
例えば、立ち上がりや歩行、入浴などに手助けが必要だったり、認知機能の低下によって服薬管理などが難しくなったりすることがあります。
ただし、要介護1と認定された方でも、自分でできることがたくさん残っている場合があります。
そのため、何でも介助するのではなく、
「どこに支援が必要なのか」
「今できていることをどう続けていくのか」
を考えながらサービスを利用することが大切です。
では、具体的な例を見てみましょう。
80歳のAさんは、
息子さんとの2人暮らしです。
屋外では杖を使用していますが、
家の中では壁を伝いながらゆっくり歩くことができます。
少し物忘れはありますが、
会話はしっかりしていて、とても社交的な方です。
ただ、
- 薬の飲み忘れ
- 飲み間違い
が増えてきたため、
介護保険を申請し「要介護1」と認定されました。
どんなサービスが必要?
Aさんの場合は、選択肢のひとつとして
「デイサービス」
の利用を検討してもよいと思います。
Aさんは社交的なので、
- 人と話す
- 外へ出る
- 身体を動かす
ことが、生活の刺激になります。
デイサービスでは、事業所によって、
- 入浴
- 食事
- 機能訓練
- レクリエーション
などのサービスが提供されています。
利用するサービスの内容は事業所によって異なるため、ご本人に合った事業所を選ぶことも大切です。
お薬管理も大切です
薬管理が苦手とのことなので、服薬管理や体調面で支援が必要な場合は、訪問看護の利用を検討することもあります。
ただし、訪問看護を利用できるかどうかや利用方法は、ご本人の状態や主治医の判断、介護保険・医療保険の適用などによって異なります。
訪問看護では、
- 服薬状況の確認
- 薬を飲みやすくする方法の検討
- 体調の確認
などを行うことができます。
ご家族が毎回確認する負担も少し軽くなります。
「できること」を活かすことも大切
介護サービスを利用すると、ご本人やご家族の負担を減らすことができます。
一方で、ご本人がまだできることまで、すべて周りが代わりに行う必要はありません。
Aさんのように、まだ自分でできることが多い方の場合は、
「何を手伝ってもらうのか」
だけでなく、
「今できていることを、どう続けていくのか」
という視点も大切です。
ご本人の状態や希望に合わせながら、必要なところは支援を受け、できることは続けていく。
そんなふうに介護サービスを利用していけるといいと思います。
要介護5|日常生活のほとんどに介助が必要な状態
要介護5は、介護保険の要介護認定の中で最も介護の必要性が高い区分です。
ただし、「要介護5だから必ず寝たきり」「要介護5だからすべてのことができない」というわけではありません。
身体の状態や認知機能、必要な介助の内容は一人ひとり異なります。
一般的には、食事や排泄、入浴、着替え、移動など、日常生活のさまざまな場面で多くの介助が必要になる方が要介護5と認定されることがあります。
そのため、ご本人への介護だけでなく、介護するご家族の負担も大きくなりやすく、介護サービスをどのように組み合わせるかがとても大切になります。
では、具体的な例を見てみましょう。
78歳のBさんは、
2年前に介護保険を申請したときには「要介護3」でした。
その後、徐々に身体機能が低下し、
- 一人で起き上がれない
- 移動が難しい
- 食事介助が必要
な状態となり、再度申請をして「要介護5」と認定されました。
トイレ介助
Bさんは、ベッド横のポータブルトイレを利用しています。
でも、
- 起き上がる
- 立ち上がる
- ズボンを下ろす
など、ほとんどの動作に介助が必要です。
介助するご家族にも、かなりの体力が必要になります。
食事介助
数口程度であれば自分で食べられます。
でも疲れてくると、食事が進まなくなってしまうため、介助が必要になります。
こうした介護は、
「毎日続く」
ということが大きな負担になります。
入浴介助
シャワーチェアを使用して入浴していますが、
- 移動
- 洗髪
- 洗体
- 着替え
など、ほぼ全介助の状態です。
入浴介助は、介護の中でもかなり重労働です。
要介護5ではどんなサービスを利用する?
要介護5になると、日常生活のさまざまな場面で介助が必要になることがあります。
そのため、一つのサービスだけですべてを支えるのではなく、ご本人の状態やご家族の生活に合わせて、複数の介護サービスを組み合わせることがあります。
例えば、日中の介護や入浴などの支援が必要な場合には、デイサービスの利用を検討することがあります。
訪問看護では、ご本人の状態に応じて、
- 体調の確認
- 医療処置
- 床ずれなど皮膚状態の確認
- 清潔ケア
- リハビリ
などを行います。
また、訪問介護(ホームヘルプ)では、ケアプランやご本人の状態に応じて、排泄や食事、着替えなどの身体介護を受けることができます。
ほかにも、車いすや介護ベッドなどの福祉用具を利用したり、必要に応じてショートステイを利用したりする方法もあります。
大切なのは、
「要介護5だから、このサービスを使う」
と決めることではありません。
同じ要介護5でも、ご本人の状態や希望、ご家族が介護できる時間や負担はそれぞれ違います。
ケアマネジャーなどと相談しながら、本人と家族の両方が無理なく生活を続けられる組み合わせを考えていくことが大切です。
要介護5でも「介護が楽になる」とは限りません
要介護度が高くなると、介護保険で利用できるサービスの支給限度額も高くなります。
ただし、
「要介護5になれば、家族の介護負担がなくなる」
というわけではありません。
在宅介護では、介護保険サービスの自己負担分だけでなく、
- おむつなどの日用品
- 食費
- 医療費
- 介護保険の対象にならないサービスや物品
などに費用がかかることがあります。
また、福祉用具には介護保険を利用してレンタルできるものや、購入費の支給対象となるものがありますが、すべての福祉用具が同じように利用できるわけではありません。
そして、お金の問題だけではありません。
要介護5の方を自宅で介護する場合、食事や排泄、体位変換、清潔ケアなど、日常生活のさまざまな場面で介助が必要になることがあります。
サービスを利用していても、サービスが入っていない時間をご家族が支えているケースもあります。
だからこそ、
「使えるサービスは上手に使う」
ことが大切です。
ご家族だけで抱え込まず、負担が大きくなってきたと感じたら、早めにケアマネジャーなどへ相談してください。
要介護5でも「できること」は人それぞれです
要介護5と聞くと、
「何も自分ではできない状態」
と思われる方もいるかもしれません。
でも、同じ要介護5でも、身体の状態や認知機能、できることは一人ひとり違います。
介護をしていると、つい
「危ないから私がやろう」
「時間がかかるから、やってあげよう」
と思ってしまうことがあります。
もちろん、安全のために介助が必要なこともあります。
それでも、ご本人の状態に合わせて、
- コップに手を添えてもらう
- タオルを渡して、自分で拭けるところを拭いてもらう
- 食事の最初の数口は自分で食べてもらう
- 着替えのときに、動かせる手や足を動かしてもらう
など、今できていることを続けてもらうことも大切です。
すべてを「やってあげる」のではなく、
「どこまでなら自分でできるかな」
と一緒に考える。
その方が持っている力を活かしながら、難しいところを介助することが、ご本人の生活を支えることにもつながると思っています。
ただし、無理に自分でしてもらう必要はありません。
その日の体調によって、できることが違う日もあります。
「今日はできないから手伝おう」
そんな日があってもいいと思います。
最後に|介護度だけでサービスを決めるわけではありません
今回は、要介護1と要介護5の方を例に、在宅介護でのサービスの使い方についてお話しました。
要介護1と要介護5では、必要になる介助の量や、介護保険で利用できるサービスの支給限度額などに違いがあります。
でも、私が訪問看護師としてお伝えしたいのは、
「介護度だけを見て、必要なサービスが決まるわけではない」
ということです。
同じ要介護1でも、一人暮らしの方とご家族と暮らしている方では、必要な支援が違うことがあります。
同じ要介護5でも、ご本人の身体の状態や認知機能、ご家族が介護できる時間などによって、必要なサービスは変わります。
大切なのは、
「この人には、どんな支援が必要なんだろう」
「ご家族が無理なく介護を続けるためには、何が必要なんだろう」
と考えることです。
介護保険サービスは、ご本人の生活を支えるだけでなく、介護するご家族を支えるためにもあります。
「まだ家族で頑張れるから」
と、限界まで抱え込む必要はありません。
反対に、ご本人がまだできることまで、すべてサービスに任せる必要もありません。
できることは続けながら、難しいところは人の手を借りる。
そんなふうに、ご本人とご家族に合った介護の形を、ケアマネジャーや医療・介護の専門職と一緒に考えていけたらいいなと思います。
介護保険について最初から知りたい方へ
「そもそも介護保険ってどうやって申請するの?」
「介護が必要になったら、まず何をすればいい?」
という方は、介護保険の申請からサービス利用までの流れをこちらの記事でお話しています。


